6. クロッシング~祈りの大地~ ②

脱北者がテーマの映画と聞けば楽しい内容のはずはなく、そうでなくても何かとストレスが

たまりやすい昨今「せめて映画くらいは明るく楽しいものを観てスカッとしたい」と敬遠されて

しまう懸念を少し感じましたので、実際どのような作品なのか、あまりネタバレにならない程度

に私自身が観て良かったと思える点を中心に書いてみたいと思います。


中国国境に近い北朝鮮・咸鏡南道の炭鉱で働くヨンス(チャ・インピョ)は元サッカー選手で

現役時代の活躍は人々の記憶にまだ残っているほどです。妻(ソ・ヨンファ)と11歳の息子

ジュン(シン・ミョンチョル)との生活は決して楽ではないものの、3人はお互いを尊重して

労わり合いながら、つつましくも幸せに暮らしていました。
戦前の日本の一般家庭よりも物が

少なく、貧しく質素な暮らしの中でも、家族が寄り添って助け合って精一杯生きている姿は、

清らかで私達が失ってしまった目に見えない大切なものを思い出させてくれるかのようです。


3人の食卓
3人の食卓


道具が無くてもボール1つあれば、あるいはボールすら無くても、代わりの物を見つけて

楽しめるサッカーが、世界で一番普及しているスポーツだと言うことは、この作品からも

良く伺えました。大人も子どもも、生き生きとサッカーを楽しむ様子は、暗くなりがちな

テーマに、やすらぎと光明を与えてくれます。貧しくて限られた状況でも逞しく生きる

人々に強い共感を覚え、憐憫の情だけにとどまらない何かを感じとることが出来ました。


炭鉱でのサッカーの試合
炭鉱でのサッカーの試合

サッカーを楽しむ父子と飼い犬
サッカーを楽しむ父子と飼い犬


ヨンスの友人で頻繁に中国を訪れる貿易商のサンチョルには、ジュンと同級生の娘ミソンがおり

ジュンは密かに恋心を寄せますが、ナイーブさが微笑ましく純粋さに心が洗われるようです。



制服姿のジュンとミソン
制服姿のジュンとミソン


こうして、テレビなどでよく観る平壌(ピョンヤン)以外の北朝鮮の様子を伝える手段として

現実に即しながらも優しい目線と絶妙なカメラワークにより、その先に待っている展開に一種

の期待感を抱かせ「決して目を伏せることなく最後まで鑑賞しよう」と言う気持が自然と沸いて

来るように工夫している点は、製作者の最も苦労したことのひとつではないかと思いました。


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