393. 漂泊する精神 パンソリ

3月7日(水)19:00~ 駐日韓国大使館 韓国文化院 ハンマダンホール にて開催された

韓国文化院・講演会シリーズ2013 「韓国の魅力」 の第3回 東京芸術大学音楽学部楽理科

教授 植村幸生 先生の 『韓国映画にみる伝統音楽と芸能』 に行ってきました。

植村先生が教鞭を執られている 「楽理科」 とはどんな学問なのか? 

見当もつかなかったので始めに東京芸術大学のサイトを閲覧してみたところ…

音楽研究の学である音楽学(西洋音楽史、日本・東洋音楽史、音楽民族学、音楽美学など)を
研究・教授し将来、音楽の学問的研究およびそれに関連した仕事にたずさわる人材の養成を
目的としています。授業内容は、音楽学専門科目の講義・演習を中心に広く音楽の各分野にわたり
外国語の習得も重視されています。また音楽の実技や音楽理論も必修とされ、本学の特色である
音楽の実践に密着した研究が要求されます。


これを読んでも正直よくわかりませんでしたが、今回は3作品の韓国映画を通じて

伝統音楽と芸能に触れるプログラムでした。

1.風の丘を越えて(西便制)  パンソリ 
2.黄真伊 1986年   玄琴 (コムンゴ)  
3.王の男        男寺党 (ナムサダン)


先ず 「講演中によく使う言葉があるので覚えてください」 と以下の5つが紹介されました。

ソリ  소리
ノリ  놀이
国楽  국악
正楽  정악
民族楽  민속악


ソリ (소리) は単なる 「声」 ではなく森羅万象の声であり、ノリ (놀이) は演じること、

国楽 (국악) は、上流階級の 正楽 (정악) と庶民の 民族楽 (민속악) に分かれるそうです。

映画はいずれも観たことがない作品でしたが、伝統音楽と芸能に焦点を絞って部分的に観ると

芸術として一層魅力的なものに感じられ、映画自体への興味も増してきました。

特に 「風の丘を越えて」 の前半の映像に登場したパンソリは、私が大好きな「三国志演義」 の

赤壁の戦いを表現しており、韓国人も日本人と同じく 「三国志正史」 より 「三国志演義」 が

好きなのだろうか? と、どうでもよい興味まで膨らみました。

先生によるとパンソリ (판소리) は「漂白する精神」 であり、現在残っている作品は5つ、

流派(制)は地域により3つに区分され伝えられてきたそうです。

興夫歌(フンボガ 흥보가)
沈清歌 (シムチョンガ 심청가)
春香歌 (チュニャンガ 춘향가)
赤壁歌 (チョッピョッカ 적벽가)
水宮歌 (スグンガ 수궁가)

東便制 (トンピョンジェ 동편제)  男性的
西便制 (ソピョンジェ 서편제)   女性的
中高制 (チュンゴジェ 중고제)   中間


またパンソリの家系とシャーマンの家系には関連があり、パンソリの起源はダンゴルと呼ばれる

シャーマンが唄う、祈祷歌からきているようです。 そして 「風の丘を越えて」 のあらすじは…

芸に厳しい父親ユボン(キム・ミョンゴン)は、養女ソンファ(オ・ジョンヘ)と
義理の息子トンホ(キム・ギュチョル)にパンソリを教えながら旅回りを続けるが、
父親に反発するトンホは、家を飛び出してしまう。
また、ソンファは、パンソリにハン(恨)を刻み込もうとして、父親から知らないうちに
薬(ブシ)を飲まされ失明してしまう。
やがて父親は「恨に埋もれず、恨を超えろ」といい残して死ぬ。
弟トンホは姉ソンファを探し出し再会するが…       輝国山人の韓国映画より


ブシは猛毒のトリカブトではないですか! あまりに衝撃的な内容なので動揺してしまいました。

パンソリを極めた姉ソンファが最後に唄う 「沈清歌」 は、親孝行の娘・沈清(シムチョン)が

盲目の父の治療費を得るため船乗りに体を売った後、航海の安全を祈るため生贄になってしまうも

沈清の真心を知った海の神様に救われて、父と再会を果たすという物語です。

父親ユボンの残した言葉 「恨に埋もれず、恨を超えろ」 と、先生の 「漂白する精神」 とは?

ふたつのキーワードが頭から離れず、いろいろな思いが浮んでは消えて答えに辿り着けません。

ただ、私が確信を持てるのは

「父親ユボンは自身が犯した行為に対し償う覚悟を決め、償いには長い苦痛が伴うと知った上で

重いカルマを背負い、一方の姉ソンファは今生では失明させられ苦しい人生を送ることになるが

これまで背負っていたカルマからは解き放たれた」 ということだけです。

けれど、「恨」 イコール 「カルマ(業)」 ではない難しさがあり、答えは簡単に出ないのです。

パンソリは視覚と感覚だけで受けとめられる韓国伝統舞踊と違い、言葉が壁となって理解を

妨げている面があるので、結局 「韓国語をもっと上達させなければ」 に戻ってしまいます。

それでも今回の講演のお陰で名作 「風の丘を越えて」 に出逢え、パンソリに対する興味が

強くなり世界が広かったので、感謝して今後につなげて行きたいと思いました。

「黄真伊 1986年」 の玄琴 (コムンゴ)と「王の男」 の男寺党 (ナムサダン) については

韓国文化院のHP に講演内容が載っていますので良かったらチェックしてください。



西便制 沈清歌  チャ・ジヨン by icebebe83さま
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