322. 紀尾井 江戸 邦楽の風景(六)朝鮮通信使

7月19日(木)18:30~ 公益財団法人 新日鉄文化財団 紀尾井ホール にて開催された

『紀尾井 江戸 邦楽の風景(六)朝鮮通信使』に行ってきました。


そもそも朝鮮通信使の始まりは、室町時代に足利義満が60回以上も朝鮮に送った使者の返礼

として日本に派遣されたことによるものでした。室町幕府が倒れ戦国時代を経て豊臣秀吉が

天下統一を果した後は不幸な侵略の歴史と共に途絶え、再開は徳川家康が江戸幕府を開き、

朝鮮との和解に情熱を傾けて戦後処理(捕虜返還など)を行ったことから発展しました。

戦後処理は第3回目でようやく終わり、その後は第12回まで両国の信頼関係を深める使者

として朝鮮李王朝の信書を携えて来日し、徳川幕府将軍の返書を持ち帰りました。


今回参加したイベントは、第8回目 1711年(正徳元年) に来日した使節が演奏した音楽

に焦点を当てたものです。毎回300人~500人を数える使節団の約1割が音楽の関係者で

占められていた記録から、朝鮮王朝が儒教思想に基づいた 「礼と楽の結びつき」 を重要視

していたことが伺えます。第8回目の李氏朝鮮国王は、第19代 粛宗(スクチョン)で

使節総勢500名、正使(使節のリーダー)は趙泰億(チョ・テオク)、これを迎えたのは

江戸幕府 第6代将軍 徳川家宣、総責任者 新井白石、主な目的は 「家宣襲封祝賀」 でした。


少し横道にそれますが第19代 粛宗といえば、韓国ドラマファンにはお馴染みの 「トンイ」

に登場する王様で チ・ジニ さんの凛々しい姿を想い浮かべる方も多いでしょう。

粛宗は46年の在位中に多くの政治的功績を残した絶対的王権を持った最後の王と言われ、

朝鮮通信使の派遣も3回行っています。

対する第6代将軍 徳川家宣 の在位は僅か3年で、かの有名な第5代将軍 と 第8代将軍の

狭間で陰が薄い印象が否めず、実際ドラマなどの作品に登場した記憶もありませんでしたが

どうにか検索して見つけました。ドラマ 「徳川風雲録 八代将軍吉宗」 で 橋爪淳 さんが

演じた 家宣 は、温和な性格で学問好き、上記の新井白石から歴史を熱心に学んだ記録が

残っているそうです。対照的な2人の画像から、同じく一国のトップでありながら2人が

置かれた状況の違いが何となく伝わってくるような印象を受け、1711年(正徳元年)の

第8回 朝鮮通信使 への興味は一段と深まってきました!


粛宗 (チ・ジニ) ドラマ「トンイ」より 家宣(橋爪淳) ドラマ「徳川風雲録八代将軍吉宗」より
左:粛宗 (チ・ジニ) ドラマ「トンイ」より
右:家宣(橋爪淳) ドラマ「徳川風雲録八代将軍吉宗」より


ここから、ようやく本題に入り今回のプログラムは以下の通りです。


第一部 
対談 
出演 : 黄俊淵(ファン・ジョンヨン) ソウル大学 教授
徳丸吉彦 聖徳大学 教授・お茶の水女子大学 名誉教授
李知宣(イ・ジソン)淑明女子大学 助教授 

第二部 
韓国儀礼楽 「大吹打」 「吹打」 「剣舞」
演奏・舞:韓国国立釜山国楽院 

舞楽 「陵王」
演奏・舞:伶楽舎(れいがくしゃ・日本の雅楽演奏グループ)

コラボレーション舞楽 「納曾利」
演奏:韓国国立釜山国楽院  舞:伶楽舎



紀尾井 江戸 邦楽の風景(六)朝鮮通信使
「紀尾井 江戸 邦楽の風景(六)朝鮮通信使」 チラシ表


初めて入った紀尾井ホール、伝統的なヨーロッパの箱型スタイルと広いオープンステージに

新鮮な感動を覚え、その余韻にひたりながら始まった第一部では、ステージのスクリーンに

映し出された関連資料に合わせ、日韓の著名な 「音楽学」 の先生から概要説明を受け…

朝鮮から長い旅を経てようやく江戸に到着した通信使一行が、まさに紀尾井ホールがある

この地で朝鮮音楽を演奏し、日本雅楽を聴いたとう事実の重みを感じることが出来ました。

蛇足ですが紀尾井は、「州徳川家中屋敷」 「尾徳川家中屋敷」 「彦根伊家中屋敷」

に由来し各家の文字を1文字ずつとって町名にしたそうです。


説明が終るとそのまま第二部に入り、正面ステージを凝視していたところ、ホール後方から

何やら大きな楽器の音が響き、黄色い衣装の使節団が演奏しながら行進して来ました。

演目は 「大吹打(テチュイタ)」 という使節が行進また重要な場所に到着した時に演奏

された太平簫(テピョンソ)が中心となる音楽で今回のイベント中一番印象に残りました。


韓国国立釜山国楽院 朝鮮通信使 大吹打
韓国国立釜山国楽院 朝鮮通信使 大吹打(テチュイタ)

画像向って右側の2人が 太平簫 (テピョンソ) の担当です。

それ以降の演目や全般的な内容説明は非常に難しいので関連記事を保存しました。

興味があればぜひ以下を参照してください。

朝鮮通信使関連 2012/07/06 東洋経済日報 「<韓国文化>朝鮮通信使の音楽に触れる」

日本の雅楽関連 2012/07/02 読売新聞 「日韓の雅楽、合同上演 双方の特色 前面に」


これまで機会が無かった日本の雅楽に触れ、画期的な両国のコラボレーション舞楽まで堪能

出来た今回のイベントにより、過去の不幸な歴史を乗り越えて真の友好関係を築くためには

良好な関係の時の記録を後世に残す作業も非常に重要であると気づかされました。
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