222. 8月27日公開の韓国映画 「ハウスメイド」(原題 下女)試写会感想

鑑賞した映画が圧倒的に少ない活字好きですが、イ・ジョンジェ出演作品は例外です。

最も傾倒している韓国ドラマ 「魔王」 も、イ・ジョンジェ主演ドラマ 「エアシティ」

リアルタイムでネット視聴するため万全を期して予行演習したことが出逢いのきっかけで、

「エアシティ」 の2ヵ月前にスタートした 「魔王」 は絶好の練習台でした。

このようにイ・ジョンジェ出演作品を貪欲に観たい私にとって 「ハウスメイド」 の日本公開

は大変喜ばしいことです。ジャンルによっては言葉が理解出来なくてもある程度楽しめる

作品は多々ありますが 「ハウスメイド」 のように激しく衝撃的な内容でありながら心の

内側に重きを置いた作品は対応不可能で、テレビ局が視聴者のために 「台本」 を

提供してくれるドラマとは異なり、字幕付きを待つ以外に方法がありませんでした。

「イ・ジョンジェ」 の名前が無ければ決して観ることはなかったであろう 「ハウスメイド」

の感想を他の映画と比べる術もない私が、率直に感じたことを書いてみたいと思います。

先入観は無いつもりですが、鑑賞以前に知っていた点を一応あげておきます。


・イム・サンス監督は、映画 「太陽はない」 にカメオ出演していたので知っていた。

・ドラマ 「カタツムリの愛」 「愛はブルー」 でイ・ジョンジェと共演したチョン・ドヨンの

 卓越した演技力と自然な顔立ちに好感を持っていた。特に 「愛はブルー」 では

 双子の兄妹を演じ、私の中では永遠に 「妹」 の 「高飛び込み選手」 である。

・今春 「大阪アジアン映画祭」 の特別招待作品に選ばれて来日したイム・サンス監督

 記者会見の様子を事前に聴いており、最も訴えたかったことや結末を知っていた。

2011.3.9 大阪アジアン映画祭2011 イム・サンス監督記者会見 大阪ABCホール ← をクリックするとスタートします

 この音声ファイルはネタバレに配慮していない内容です。ご注意ください!

 ネタバレに配慮した作品紹介は、こちら をどうぞ。



夫婦は別姓で子どもは父親の苗字を名乗る伝統的な男性社会・父系社会である韓国は、

男女平等が叫ばれ女性が高度な教育を受けて大活躍する時代になっても、長く根付いた

儒教の影響が生活の細部にまで浸透しています。

儒教とは、五常(仁、義、礼、智、信)のために、五倫(父子、君臣、夫婦、長幼、朋友)の

関係を維持する教えで、韓流ブームで韓国に興味を持ち始めた日本人には古き良きモノ

と映ることもあります。但しどんなに優れた思想や宗教でも解釈を誤れば凶器になりうる

可能性を秘めており、「五倫の関係」 は互いを尊重し合えば理想的ですが、上下関係や

主従関係が前面に出れば当然軋轢が生じます。

昨年、韓国文化院主催のイベントで 「パンソリ」 を鑑賞する機会に恵まれ、以前から外国人

にとって理解が難しいと考えていた 「恨(ハン)」 のルーツを垣間見た感覚に囚われており、

歌い手の「激しく物悲しく力強い説明不能なエネルギー放出時のパワー」 と「妖艶さ」 が

「ハウスメイド」 の女性出演者達が放つ 「オーラ」 と同類項であることに着目しました。

イム・サンス監督の言葉を借りれば 『侮辱された人』 の行き場のない負のエネルギー

の着地点は予測不能、想定外の出来事が次々と起こり観客を追い詰めて行きますが、

一方 『屈辱している人』 を演じるイ・ジョンジェは微塵の罪悪感さえ見せない飄々とした

演技で与えられた役目を見事に果たします。

「恨(ハン)」イコール 「恨み」 ではないにしても、何かに縛られたままでは真の幸福を

得ることは出来ないと各々が気づき手放すことが唯一の解決方法で、韓国が更なる

発展を遂げ理想的国家を形成するために乗り越えなければならない最大の壁は、

負のエネルギーをいかに解消させ浄化させることが出来るかだと感じました。

重要な点は、『侮辱された人』 は当然ながら 『屈辱している人』 も同様に満たされては

おらず、場合によっては 『侮辱された人』 以上に背負うものが重いという現実です。

この作品をその問題提起として捕らえ、 「女は怖い」 「女はしたたか」 と簡単に片づける

ばかりでなく、「一歩踏み込んで韓国の深遠に迫る」 のも有意義だと思います。

エロチックサスペンスとして軽く楽しむのも、韓国特有の文化を深く掘り下げるのも自由、

「官能と非道徳と破壊」 の衝撃的なストーリーを通して韓国社会が抱えている根底の

問題やお金に執着することの無意味さを描こうとした姿勢に絶賛の拍手を贈りたいです。

「第3次韓流ブーム」 到来中の昨今、新しい韓流ファンの方々にも この機会にぜひ

劇場に足を運んで韓国映画の魅力を感じて頂きたいと願っております。


一足先に鑑賞させて頂きましたことを関係各位に心から感謝申し上げます。
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