15. 司馬遷に遼(はるか)に及ばず

日本を代表する歴史作家、司馬遼太郎の本名は福田定一さんと言いますが、

中国前漢時代の歴史家で「史記」の著者、司馬遷(しばせん)を尊敬していたことから、

「司馬遷に遼(はるか)に及ばず」がペンネームになったそうです。

司馬遼太郎がペンネームの由来にするほど尊敬していた司馬遷の書いた「史記」は、

全130巻(本紀12巻、表10巻、書8巻、世家30巻、列伝70巻本紀)からなる中国の

壮大な歴史書で、更に有名な「三国志」より遥かに素晴らしいと私は思っています。

130巻の内訳の中で、'本紀(ほんぎ)'が、所謂、歴史の教科書などで年代順に学ぶ

'こんな出来事がありました的'な記録ですが、歴史の授業が退屈なのは、'本紀的'な

ことを中心に勉強するからだと思います。「史記」に当てはめると本当に面白いのは

'世家(せいか)'や'列伝'で、地方、郷土、個人の伝記など多方面にスポットを当て

人間味溢れた出来事が書かれています。そして日本が誇る作家、司馬遼太郎が「史記」

に基づき、満を持して書き上げた作品が「項羽と劉邦」で、秦の始皇帝亡き後の

項羽と劉邦の覇権争いが感動的に描かれています。

私はこの「項羽と劉邦」を読んで以来、随分長い期間、司馬遼太郎の最高傑作だと

思い続けてきました。「史記」を知らなくても、日常私達がよく耳にする、百発百中、

四面楚歌、傍若無人、背水の陣、完璧 などの言葉は史記から来た故事成語であり、

「史記」を語れば、日が暮れ夜が明けるくらい、熱をあげていた時期があります。

ちなみに、2位は「坂の上の雲」 3位は「竜馬がゆく」 4位は「国盗り物語」

5位は「関ヶ原」 ですが、2位以下は順位が度々かわりました。


ところがある日突然、全てを覆すほどの司馬遼太郎作品に出逢ったのです!

私にとっては晴天の霹靂とも言える出来事でした!


その作品「故郷忘じがたく候」は、16世紀末、朝鮮の役で薩摩(島津)軍の捕虜となり、

日本に連れてこられた陶工たちの物語が中心に描かれた短編で、長編作品好きの私は

気づかないうちに短編作品だからと避けていたのかもしれません。


出逢いは遅くなってしまいましたが、日韓交流が私の人生の目的だと思えるほどに

なった所以として、「故郷忘じがたく候」は重要な役割を果たしてくれました。

1日で読める短編でありながら、130巻の英知が集結した大作を越えるような、

感動を与えてくれた優れた作品で、韓国や焼き物に興味のある方には、ぜひ、

お薦めしたい一冊です。何よりも、謙虚な気持ちで相手を理解しようとする姿勢が

不可欠な草の根交流には、バイブルともなる作品だと思います。


故郷忘じがたく候
「故郷忘じがたく候」の表紙と裏表紙
関連記事
プロフィール
カテゴリ
管理人へのメールはこちら

初めての方は、送信される前に
カテゴリ「メールの返信について」を
ご一読くださいますようお願いします。


e-mail


メールは公開されません。

CalendArchive
CASIO-Calendar
QRコード
QR
template
・template サブカルシート HiRo
・background-image kaze-sora.com
・header-image JJGallery
リンク