14. 一将功なりて万骨枯る

巷では嫌なニュースが多く、それに憤慨しながら、ふと思い出した言葉を紹介します。

読み方は「いっしょうこうなりて ばんこつかる」

意味は「1人の将軍が功名をあげた影には万人の兵士が荒野に屍を晒すような犠牲がある」

中国晩唐の詩人、曹松(そうしょう)が詠んだ「己亥歳(きがいのとし)」の一節です。


日本経済がバブルに踊っていた頃、部下が頑張ったことまで自分の手柄にして出世コース

をひた走っていた営業職のA氏に、この言葉をぶつけました。

A氏は私の上司ではなく直接被害を被った訳ではありませんでしたが、傍目から見ても

あまりに露骨に手柄を独り占めするので我慢出来なくなり、ある日、言い放ったのでした。

「まるで、一将功なりて万骨枯る ですね!!」相手は無言でした。


しばらくすると、A氏の上司にあたる取締役がやって来て私に言いました。

「万骨枯る ね~ まあ仕方ないんだよ。どんなことにも犠牲はつきものだから…」

A氏が上司に告げ口したようです。



時は流れ、その会社が今どうなっているのか検索したら、A氏の名前は無く、荒野に屍を晒

したはずの気の毒な部下が出世して名前が載っていました。時が流れたと言っても、A氏の

定年はまだまだ先のはずです。いったいA氏はどうしたのでしょう…


ここで私は2通りのケースを考えました。

①気の毒に見えた部下は実はA氏よりやり手で、本当はA氏の手柄なのに、

 A氏が横取りしたように傍目から見えるよう画策していたのか?

②気の毒に見えた部下は手柄を横取りされても文句も言わずコツコツと地道に頑張って、

 やがてその苦労が認められて出世し、A氏は悪事がばれて失脚したのか?



今更、真意を確かめる術はありませんが、もしかしたら私は大失言したかもしれないと

反省しています。ちょっと知っている言葉を使ってみたくて使った感も否めませんし、

いくらA氏が部下の手柄を横取りしたことが事実だとしても、部下は荒野に屍など晒して

いない訳で、大袈裟にもほどがあります。李白の五言絶句「白髪三千丈」は特に有名ですが、

これに限らず中国には誇張表現が多くあり、私はこの誇張表現が、何故か嫌いでは

なかったのです。でもこれからは、不用意な言葉は慎み気を付けたいと思いました。


「一将功なりて万骨枯る」は、今にして思えば、他人にぶつける言葉ではなく、

自分自身に向けるべき言葉、謙虚に生きるための知恵が込められており、

常に何事にも感謝の気持ちを忘れてはいけないとの諌めだと受け止めています。



ちなみに、巷の嫌なニュースのひとつは、横綱朝青龍の引退です…

何を隠そう、実は私、密かに彼のファンでした…


ソウル国立中央博物館の凍池
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