54. 祖国と母国

Shenyang Skyline
瀋陽市の風景 Shenyang Skyline by ASDFGHJ


韓国語を中国 遼寧省 瀋陽市在住の朝鮮族 K先生に習い始めてから2ヵ月が経ち、

数えてみると、1回50分のレッスンを既に20回も受けたことになります。

毎回レッスンを始める前に、フリートークをすることは以前にも紹介しましたが、

最近はなるべく新しい単語を多く覚えたいこともあり、ある程度準備をして臨みます。

それで先日は、間近に迫った上海万国博覧会について聞いてみたところ、意外な答えが

返って来ました。 「とても心配です。中国人のマナーが悪いことは知っているでしょう。

大勢の人が一気に押し寄せた時、順番待ちがちゃんと出来るか、ゴミはきちんと決められた

場所に捨てられるか、とても心配しています。」

私は返答に困り、根拠もないのに 「大丈夫ですよ」 と言ったら

「どうして大丈夫だと思うのですか?」と逆に聞き返されてしまいました。

この文章だけでは、K先生の意図とかニュアンスは伝わらないと思いますが、このような

中国国内の話題になる時、K先生は「祖国」である中国という国の人民の立場で話されます。

自分の国が 「世界中の笑いものになるのは忍びない」 「恥をかきたくない」との思いが

強く感じられ、祖国に対する愛情、良い面も悪い面も含めて自国を愛おしく思う気持ちの

現れで、「祖国に対する愛国心」なのかもしれないと推測しました。

「日本も東京オリンピック、大阪万博など、国際的な催しを経験することで、形だけの

成長ではなく、国際的な基準を意識するようになったので、中国も北京オリンピック、

上海万博で、きっと変われるから心配いらないですよ」との、ちょっと苦しい私の返答に、

「本当ですか? それなら良かったです!」と大喜び。

そんな訳で、けなげに心配するK先生を裏切らない結果を期待したいものです


そのK先生も、ひとたび日常生活や心情の話になれば、突然様子が違ってきます。

何かの事柄について話す時には必ず 「漢族は…」 「朝鮮族は…」と分けて説明があり

漢族とは根本的に違うことを誇りに思っている様子が伝わってきます。

それでも漢族を快く思っていない訳ではなく、愛情すら感じられるものの、「母国」で

ある朝鮮・韓国に対する思いは、その何倍も強い民族愛から成り立っていると思われ、

それは、自分が自分である証と言えるものなのではないでしょうか…


「祖国には愛国心」 「母国には民族愛」 日本人には理解しづらい部分ですが、

端的な例が、K先生の以下の話です。

「朝鮮族は、中国人(漢族)と結婚するより、違う外国人と結婚したほうが、うまくいく

と言われています。漢族以外の外国人となら、お互いに合わせる努力をして我慢しますが

漢族に対しては一切遠慮しないです。他所の人には遠慮するけれど、家族や親戚には、

遠慮しないのと同じです。結局、朝鮮族同士が一番良いということになりますね。」



祖国と母国が同一である私をはじめ多くの日本人は、愛国心と民族愛を分けて考える

必要がないのだから、物事をもっとシンプルに相手を思いやって助け合えないのか、

どんな困難にも団結して立ち向かえないのかと、今の日本の現状も歯痒く思いました。

つづく
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53. 幻の多摩川散策

3月13日(土)、駐日韓国大使館 韓国文化院の文化交流散策プログラム

「姜基洪院長の動く韓国文化院 多摩川散策」 に初めて参加して、ウォーキングに

目覚めた私は今後も時間の許す限り、このイベントに参加しようと心に決めていました。 

今回は以下の通り、前回集合場所 「JR南武線矢川駅改札口」 からかなり上流に位置する

場所での集合、土手を上流に向って歩くこのイベントも、随分と先に進んだことになります。


○ 日時:2010.4.25(日)午前10時30分
○ 集合場所:JR梅線 拜島駅改札口
○ 散策コース: 拜島駅から小作まで約10キロ


ところが25日は、いろいろと立て込んで調整がつかず、結局参加できませんでした。


当日は晴天で爽やかな散策日和、参加出来なかったことがかなり残念で、少しの時間を

割いて家の裏にある土手に出てみると、濃い緑と青い空の対比が鮮やかで、例年になく

寒い春だった近頃の気候が嘘のようでした。きっと今頃、韓国の話題に花を咲かせながら、

ずっと先の土手を皆さんで歩いているのだろうと、自分も一緒に歩いているかのような

錯覚に一瞬とらわれ、暫らくして現実に戻ると何故か人恋しい気分になり、韓国文化院が

私にとってかけがえのない存在になったと感じました。


そして夜になると参加された方からメールが届き、今日の様子を早速知らせて頂き、

そのタイミングの良さに思わず笑みがこぼれて、幻の多摩川散策も乙なものだったと

自己満足に浸ることが出来きました(笑)


自宅裏 多摩川の土手
自宅裏の多摩川土手(左が上流 右が下流)


話はかわりますが、私の周囲に嬉しいニュースが2つ、

「39. 心の応急処置」 に登場した、広島カープの初優勝を喜んでくれた

ジャイアンツファンだったクラスメートの1人が、先日の○○議員選挙で当選を果たし、

「47. 人事を尽くして天命を待つ」 に登場した、韓国人留学生Jさんの元に、

待ちに待った内定通知が届きました!

心の中で暖かい声援を贈ってくださった皆さま、ありがとうございました。
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52. この本がフィクションだったなら

4月17日に封切りされた 「クロッシング」 が各方面で大きな反響を呼んでいます。

私は事前に鑑賞し自信を持ってお薦めしたい素晴らしい作品だと思い、このブログでも

たびたび紹介してきましたが、正直言って、これほど話題になりマスコミにも好意的に

取り上げてもらえるとは思っていなかったので嬉しい限りです。

この困難な世の中では 「自分のことで精一杯」「映画は娯楽だから楽しくないと…」と、

考える人がもっと多いかと思っていましたが、世の中まだまだ捨てたものではないですね。


それで私は、脱北者の現実をもっと深く知りたいと思い、今度は本を読み始めました。

脱北、逃避行  野口 孝行 著
  脱北、逃避行  野口 孝行 著


体調が優れない時などは読みたくないような、重苦しく辛い内容を覚悟していたところ

文章の巧みさから来るものなのか、冒頭からぐいっと引き込まれました。

何故か緊迫感がとても心地良く、ノンストップで行けそうな面白さではありませんか!!

表紙画像をご覧になって頂ければ、「面白い」 などとは不謹慎と思われるかもしれませんが

この本が現実に起こったことではなく、フィクションだったとしたら、優れたサスペンス小説

として、もてはやされるかもしれないとさえ思いました。

読者の目線は、著者の野口さんとなり、野口さんの体験を、そのまま自分自身が演じて

いるかのような錯覚に駆られます。時間に余裕があれば一気に読み終わったはずですが

最近とても忙しく、細切れの読書を余儀なくされ、残念ながらまだ途中です。

いずれ落ち着いたら、じっくり感想を書きたいと思いますが、これほど面白い作品は

最近にはなかったので、なんだか先走って失礼しました。


ふと我に返ると、この本は当然ノンフィクションで、本当に起こった出来事であり、

現在進行形で起こっている出来事だという事実が重くのしかかって来たものの、

いずれ迎えなければならない大きな変化を強く望む気持ちが勝って、跳ね除けました。

つづく
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51. どんな時でも韓国語

「39. 心の応急処置」 が必要な程ではなくても、何となくモヤモヤとした嫌な気分に囚われて

しまうことがあります。そんな時、韓国語のレッスンのことを考えると自然にウキウキして来る

から不思議です。この気持ちは、ここ1ヶ月くらい顕著に現れており、自分でもいったい何が

それほど楽しいのかわからないのですが、今の私にとって、いわゆる生き甲斐的存在です。

だからと言って、レッスンは決して順調ではありません。

順調でないとは物理的問題ではなく、私自身の習熟度に関してのみですが…


考えてみると私は定期的に身近な生き甲斐が変わります。少し前は 「ピアノを弾くこと」 で

ショパンノクターン13番を練習する為、会社にいても旅先でも早く家に帰りたいと思いました。

「早く家に帰ること」 そのことだけでウキウキしたのです。

その前は 「長編小説」、その前は 「筋トレ」、その前は 「水泳」と、ず~っと遡って

どこまでも遡ってゆくと…


一番古い記憶は、「競馬」 でした(笑) 「はぁ~? 競馬が好きだったの?」と、

言われてしまいそうですが、私の家は、多摩川沿いにあり、多摩川の土手に立って

川を背にすれば 「耳をすませば」 の丘が見え、その反対だと 「東京競馬場」 が見えます。

その環境から子どもの時、競馬場は絶好の遊び場でもあって、美しく大きい競走馬に

魅せられたのも不思議ではありません。そんな訳で 「競馬」と言っても子どもなので

馬券を買うことではなくて 「競走馬への憧れ」といった気持ちでした。

小学生の私が興味深かったのは競走馬の「血統」で、その馬の、お父さん、お母さんを筆頭に

お祖父さん、お祖母さん、曾お祖父さん、曾お祖母さん、曾曾お祖父さん、曾曾お祖母さん

と続く 「血統表」 に何とも言い知れぬ魅力を感じたと同時に、血統が何より優先される

世界を垣間見て、子どもながらに人間も同じように血統が優先されたら良くないなぁ~

と思いました。でも競走馬に関しては、間違いなく血統が成績に反映されており、

そのことが不思議な浪漫のようであり、ウキウキする事柄でした。

ちなみにご贔屓は、スピードシンボリ と アローエクスプレス、この2頭の躍動感溢れる

名前を聞いただけでウキウキしました。


そして、現在は韓国語。

言葉が自由に使いこなせれば、間違いなく世界が広がり、新しい発見があると思うので、

その期待感から来るウキウキのような気がします。


ただし ここに書く時の 「韓国語」 という呼称すら、どうしようか考えてしまう現実があります。

韓国・朝鮮語と書くべきなのか、でも 呼称問題の記述 によれば、両方書いたからと言って

済む問題ではなさそうです。両方書くと順番が問題になるような…


飛び込む勇気だけを武器にして、これからも地道に勉強を続け、新たな発見を目指します。
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50. 珍しい母娘のオペラ歌手

4月16日(金)19:00~ 東京四谷 「ハンマダンホール」 にて在日韓国大使館 韓国文化院主催

韓国文化院 新庁舎オープン1周年記念コンサート PART2 「母情」 へ行ってきました。

ピアノ&ジプシーヴァイオリン&ヴォーカルの共演だったPART1 「友情」に続いて、今回は、

母と娘がそれぞれソプラノのオペラ歌手として活動されている、在日韓国人 松子Lee(母)さん

せいあLee(娘)さん の共演で、伴奏は 幅広いジャンルで活躍中のピアニスト 大貫祐一郎 さん

が担当されました。これまで深く考えたことがなかったのですが、オペラ歌手の歌手として

活動可能な時期は想像以上に短いのだとか。声がある程度成熟しないとオペラは歌えない

ので、十代の若いオペラ歌手は存在せず、娘がオペラ適齢期になった頃には、母親は既に

歌えない年齢となることが常だそうです。


せいあLee  松子Lee  大貫祐一郎
せいあLee さん  松子Lee さん  大貫祐一郎 さん (韓国文化院HPより)


でも、母の松子 さんは 昭和11年生まれの73歳、確かに娘の せいあ さんに比べれば、

声に張りがないように思いましたが、それをカバーするに十分な表現力と燻し銀的味わいが

あり素晴らしい歌声でした。それから、娘の せいあ さんは、母の松子 さんに声楽を師事して

いる(習っている)とのこと 「母に習う難しさ」 「娘に教える難しさ」 を日常生活の些細な

ことであっても切実に感じている私にとっては、新鮮な驚きでした。

韓国語、日本語、イタリア語、英語で歌われた幅広いジャンルの歌は、どれも素晴らしく、

中でも母 松子 さんの韓国民謡「アリラン」が始まると自然に涙が溢れてきました。

オペラ歌手は声を維持してゆくことが非常に大変で、日々の地味な練習の積み重ねしかない、

これからも精進して母のようになりたいと言った娘、せいあ さんの言葉も印象に残っています。

母娘の深い絆に触れ、これからますます困難な時代がやって来たとしても、一番大切なのは

人との関係であり、特に家族や価値観の近い友人を大切にすればきっと乗り切れるだろうと

確信が持て、明るい気持ちでアンコールの拍手を手が痛くなるほど続けました。


コンサート終了後、大好きな姜基洪院長にもご挨拶が出来て 「新庁舎オープン1周年記念

コンサートは、今後も PART3、PART4 、PART5 と続きますよ」 と嬉しい情報を頂きました。

友情、母情の次は何でしょう? 愛情、熱情、心情、真情、慕情…
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