335. 「希望の国」 トロント国際映画祭 最優秀アジア映画賞受賞

「敬老の日」 の昨夜、両親の好物を食卓に並べ一家団欒のひとときを過ごしていた時、

NHK大相撲放送終了後もそのまま付いていたTVから嬉しいニュースが流れてきました。


カナダで開かれていた北米最大の映画祭、トロント国際映画祭で、今から数年後の
日本を舞台に原発事故に翻弄される家族を描いた映画、園子温監督の「希望の国」が、
最優秀アジア映画賞を受賞しました。カナダで開かれていた北米最大の映画祭、
トロント国際映画祭は、16日、各部門の受賞作が発表されました。このうち、
最も優れたアジア映画に与えられるNETPAC最優秀アジア映画賞には、園子温監督の
「希望の国」が選ばれました。この映画は日本国内の架空の県を舞台に、今から数年後に
再び起きてしまった原発事故に翻弄されながらも、それぞれの生き方を模索する家族の姿を
描いた作品です。園監督は、東日本大震災のあと福島県を中心に被災地をたびたび訪れて
被災者から直接聞いた話を基に、今回の映画を製作したということです。
園監督は「あの時、日本で何が起きたのか、今でも日本で何が起きているのか、
世界に見てほしい。この映画がきっかけになればうれしいです」と話しています。
映画「希望の国」は来月20日から劇場公開される予定です。



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2012.9.17.NHK ニュース 希望の国
2012.9.17.NHK ニュース より 


このブログでも何度か書いてきたように、東日本大震災後の計画停電を一家で経験した

ことを機に、これまで無関心だった原発に興味を持ち共通の話題がなかった家族の心が

1つになりました。我が家共通の考え方は 「原発がゼロになったら現在と同じレベルの

暮らしをしたいとは思わない」 ことです。限られた電力を分け合って身の丈に合った

生活が出来れば良いと思っています。それぞれ置かれた立場の違いにより原発に対する

自分の考え方が決められないでいる人も多いのではないでしょうか。

いずれ選択を迫られる日が遠からず来ることは避けられない現実を前に 「希望の国」を

鑑賞して考える時間を持つことも1つの良い方法ではないかと思いました。

「希望の国」 の劇場公開を楽しみにしています。


『希望の国』 オフィシャルサイト は こちら

346. 『希望の国』 希望と絶望は、ひとつの存在の表と裏 ①

10月20日(土)園子温監督の話題作 『希望の国』 が公開初日を迎え 新宿ピカデリー にて

舞台挨拶付きの初回上映を鑑賞してきました。鑑賞直後の感想を先ず一言…


想像もしていなかった結末に驚いたけれど、

今、原発をやめればまだ間に合う! 『希望の国』 を作ることが出来る!
 


本編が終了しエンドロールが完全に終るまで誰1人席を立たず最後に拍手が起こりました。


上映前の登壇者は 園子温監督、主役の夏八木勲さんをはじめ、大谷直子さん、村上淳さん、

神楽坂恵さん、清水優さん、梶原ひかりさん、でんでんさんと、メインキャスト勢ぞろいの

豪華な舞台挨拶で客席は満席、マスコミ関係者はカメラマンだけ最前列におり、それ以外

の関係者は脇通路にぎっしり立った状態、その中には外国人の姿もありました。

最初に司会者からトロント国際映画祭で最優秀アジア映画賞を受賞したことと、フランス・

ドイツ・イギリス・台湾で配給が決まったとの報告があり、登壇者にその感想を尋ねること

から始まりました。園監督は、「一見(いちげん)さんお断り映画で日本人のために作った。

一見さんとは日本人が持っている常識を外国人に説明する描写を入れていないという意味。

それで海外では理解されないと思っていたが、外国人が地震や津波についてよく調べており

一見さんでなかったと驚いた。フランスでは日本より大規模な公開になるようだ」 と述べ、

「言葉の違いを超えて良いものは通じると感じた」 夏八木勲さん

「肩に力を入れず、でも魂を込めて皆が演じた」 大谷直子さん

「配給のことは今聞いて驚いた」 村上淳さん

「園組に所属していると海外での知名度が高くて嬉しい」 でんでんさん

等々の発言が印象に残りました。 

又、園監督は先日急逝された若松孝二監に対し 「若松監督とはお互い釜山映画祭に参加して

釜山空港の税関で逢ったばかり、大声で話かけてくれて元気そうだった。あそこまで社会に

楯突いた人は他にいなかったのでは。最後の戦う映画監督であり東京電力を叩きのめしてやる

と話していた。あたかも空港で… 空に旅立ってゆく背中を見た。その意思を継いでゆきたい」

舞台挨拶の最後に8名が2列に並んでマスコミの撮影タイムがあり、前列中央に熟年夫婦役の

夏八木勲さんと大谷直子さんが座り、その左右と後方に監督と他の出演者が並ぶ様子は、

まるでどこにでもある家族写真のようで、会場全体は穏やかな雰囲気に包まれました。


そしていよいよ本編スタート。

「さっきまで目の前にいた役者さん達が、間を置かず今度はスクリーンに現れるなんて不思議」

そんなことが頭を過ぎったかと思うか思わないうちに、どっぷりと物語に引き込まれていました。

つづく

347. 『希望の国』 希望と絶望は、ひとつの存在の表と裏 ②

東日本大震災から数年後の 「長島県」、 酪農を営む小野泰彦 (夏八木勲) は、認知症を
患う妻 智恵子 (大谷直子) と息子夫婦の洋一 (村上淳) いずみ (神楽坂恵) の4人で
穏やかな暮らしを営んでいた。道を挟んだお向かいで農業を営む鈴木健 (でんでん)
めい子(筒井真理子) も、家業の手伝いをせず恋人 ヨーコ (梶原ひかり) と遊んで
ばかりいる息子 ミツル (清水優) に不満を持ちながらも仲良く生活していた。しかし、
ある日、大地震に襲われ原発事故が発生、半径20キロが警戒区域となり泰彦の自宅庭が
ちょうど境界線になる。立ち入り禁止の杭が打たれ、鈴木家には強制避難が命じられた。
泰彦は 「国の言うことは信じられない」 と息子夫婦を自主避難させ、自らは妻と住み慣れた
家に留まった。避難所の鈴木家は、実家が海沿いの街にあるヨーコの家族の安否を心配し、
ミツルは絶望的だと気づきながら毎日一緒に捜し続ける。
自主避難した息子夫婦はアパートを借りて洋一は工事現場で働き、いずみは妊娠が発覚、
お腹の子を守りたい一心から放射能恐怖症になっていく。さらに原発はメルトダウンし
泰彦の家も避難区域に指定され強制退避の日が迫る中、泰彦は家を出ようとしない…



冒頭から大地震が発生するまでの非常に短い時間の中で、主な登場人物8名の暮らしぶりや

人となりが説明されるのですが、わかり易くて無駄がないのに面白くて、私自身も長島県の

世界に溶け込んでしまいそうな気分になりました。その上、明らかに福島県である長島県から

「広島と長崎」 を、認知症を患う泰彦の妻 智恵子からは 「智恵子抄の高村智恵子」 を

ミツルの恋人で実家が海辺の街にあるヨーコからは 「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」 を

彷彿とさせるよう仕組まれているのかと思ったりもして…

乳牛を飼育しブロッコリーを栽培する小野家の1人息子 洋一は家業を手伝っているものの 

大人になりきれておらず、妻 いずみの方がしっかりしている印象、智恵子が認知症のため

嫁姑問題は皆無。お向かいの鈴木家はホウレンソウ草を栽培する農家で、働き物の夫婦と

放蕩息子と飼い犬。あまりに自然で日本的なごく普通の家族の姿に、私自身は鈴木家の妻

めい子 が一番近いと親近感を抱きました。


そして運命の日、長島県はマグニチュード8.3の大地震に襲われます。

「日本最大のタブーである原発」 の映画に出資する日本企業は少なく結局、イギリスと台湾

の製作会社から出資を得て完成されたと聞き、低予算の中で大地震のシーンを描くのは難しい

のではないかと想像していました。やはり、派手な破壊シーンなどはありませんでしたが、

役者さんの演技力で十分に自然の猛威や臨場感が伝わってきました。

日本に住む限り逃れることが出来ない地震と津波、未曾有の大災害に見舞われても日本は

これまで幾度となく急ピッチで立ち上がってきました。でも福島の原発事故が起きてからは

様相が一変し目に見えない放射能が足枷となって復興は進まず、人々は恐怖を募らせ悪循環

の中で被災者に安寧の日々はやって来ません。又、被災者でなくても目に見えない放射能は

どこまで飛んでくるかわからず、1つにつながっている海のどこまで流れて行くかわからない

厄介なものです。それで放射能に関して知識がある泰彦は、「政府の言うことは信じられない」

と、息子夫婦を少しでも安全な場所へ避難させようとします。このことを東日本大震災の経験が

なければ過剰反応だと思ったかもしれませんが、何も抵抗を感じなかった私自身も、あの日から

変わったのだと気づかされました。


逃げても逃げても追いかけてくる放射能の恐怖、捜しても捜しても家族が見つからない焦り、

安全だと言っていたのに制御不能になった原発への怒り、上手な役者さんばかり揃っており

感情表現だけでも十分迫ってくるものがありましたが、それに加え、マーラー交響曲第10番

「アダージョ」 の奇妙で予測不能な旋律が心憎いと思うほど合っていました。

極限状態に置かれた人々の絶望と不安、でも時々はっとするような美しい旋律に変わり

一瞬ほっとして安らぎ、また苛立つ… この一瞬の安らぎは、熟年夫婦を演じる夏八木勲と

大谷直子の重厚な演技力によるところが大きかったと思います。「帰ろうよ、もう帰ろうよ」

が口癖の妻 智恵子を深い愛情で支える夫 泰彦は穏やかに 「あと10分したら帰ろう。

時計の針が9 のところになったら帰ろう」 となだめ、それで納得するとすぐ忘れてしまう

同様のシーンが幾度となく登場し、私はその度に口元が緩みました。


海辺の街を捜し続けるミツルとヨーコは前を向き、一歩一歩、成長して愛を深め、

「愛があればなんとかなる」と、洋一といずみは安全な場所を求めて遠くに旅立つ、

そして泰彦は強制退去が迫り町役場の職員に何度即されても家を出ようとせず、

智恵子は盆踊りに行くため浴衣を着て誰もいなくなった町を行くと、放置された家畜や

ペットたちが痩せた姿で道路を彷徨っている… もっと進むと海辺の街に着き、

そこには被災した傷跡が真っ白な雪で覆われ美しい風景が広がっていました。


これからの日本を 『希望の国』に、これからの世界を 『希望の世界』 にすることは

可能だけれど正しい選択が不可欠です。自然災害から逃れることは出来ないけれど、

原発はやめるという選択が出来ます。この作品を観て、今、気づいて原発をやめれば

「希望の国」を作ることが出来るという希望の光が差しました。今からでも遅くないと。


ここでやめておけば、まだ若い夫婦に逃げる場所があるからです。

ここでやめておけば、まだ若いカップルに一歩を踏み出す道が残っているからです。


希望と絶望だけでなく対極にあるとされるもの同士は全て同じ1つの中に存在するのです。

原発推進と原発反対も、戦争と平和も、幸福と不幸も、光と闇も…

よって対極にいる人を憎み攻撃することは自分を攻撃していることと同じです。

だから困難な問題ほど、お互いを尊重しながら自然の声に耳を傾け、静かに解決して

行くしか方法がないのです。そのことにあらためて気づかされた作品でした。


難しいテーマに敢えて挑戦した園監督はじめ全てのスタッフと出演者、出資して

くださった会社に心から感謝しています。

349. 『希望の国』 鑑賞後の新大久保

先週土曜日、新宿ピカデリーで初日初回の 『希望の国』 を鑑賞後は新大久保へ直行して

作品の余韻に浸りながら 「ハンヤン2号店」 で遅い昼食をとりました。

そこはその日ご一緒した方が習い事の帰りに利用されるオススメ店、顔なじみの店員さんが

親切なうえ安くて美味しいと気に入っておられます。私は1店舗のみで営業していた数年前

に利用したことがあって安くて美味しいけれど店内は落ち着かない印象を持っていましたが、

いつの間にか3店舗の展開となって綺麗にもなり寛ぎながら食事が楽しめました。

\780 の蔘鷄湯(サムゲタン)ランチが格安で有名とのこと、でもユッケジャンクッパが

とにかく大好きなので、迷わずユッケジャンランチに決めました。

味は以前と変わらず、例の店員さん(韓国人男性)は パンチャ(無料の副菜)が無くなると

にこやかに補充してくれて、ついついビールと映画の話が進みました。


パンチャ(無料の副菜)1 パンチャ(無料の副菜)2
ユッケジャン ランチ ハンヤン
ハンヤン2号店

話は横道にそれますが、韓国語を頑張っているせいか ハンヤンの文字(上記画像を参照)

が通常見かけない文字だと疑問に思って、ハングル文字に詳しい同行者に尋ねたところ

韓陽(ハニャン) 한양 の  の  は、昔は  だったそうです。


感動的であり衝撃的でもあった 『希望の国』 では、涙を流し呆然とし魂が揺さぶられ

いつもより早く酔いが回った状態になって、それが心地良かったです。

「ハンヤン2号店」 を出て、まだ話し足りない感があり 「韓流茶房」 へ向いました。

まるでソウルの仁寺洞 (インサドン) にいるような気分が味わえる韓国伝統茶のお店です。 


韓流茶房 双和茶 (または雙和茶・サンファ茶) & 薬菓(ヤッグァ)
韓流茶房

飲んだことがないお茶に挑戦しようと、双和茶 (または雙和茶・サンファ茶) を注文しました。

このお茶は9種類の漢方薬(芍薬・熟地黄・黄耆・当帰・川芎・桂皮・甘草・ナツメ・生姜)

から作られており、疲労回復・貧血・風邪に効果があって飲酒後にも良いとのこと。

薬菓(ヤッグァ)がセットで ¥580、とても飲みやすいクセの少ない味でした。  

このお茶のお蔭もあってすっかり酔いも醒め、再び津波のように押し寄せてくる希望と絶望の

狭間で生きている人々のことをいとおしみ、私はもっと勇気を出して強くなりたいと…

それから新大久保に活気が戻りつつあることを確認出来て良かったと思える1日でした。

352. 『希望の国』 遂に多摩市でも上映決定

11月3日(土)、私の両親と娘が 『希望の国』 を観るため 新宿ピカデリー へ行ったのですが

満席で入場出来ず立ち見も断られ、「ヒューマントラストシネマ有楽町 にも電話で尋ねたけれど

駄目だった」 と残念そうに帰って来ました。両親がわざわざ映画を観るために新宿に出ることは

今まで1度も無く、TOHOシネマズ 府中 を唯一の映画館と位置づけていたようです(笑)

私は事前に予約を入れてあげなかったことを後悔しながら「ハングルで話そう会」 に行くと、

副会長さんから思いがけない情報を頂きました。

「希望の国、多摩センターでも上映されるそうよ!」 「えっ! 本当ですか?」

授業が終わり家に戻って確認すると、

ヒューマントラストシネマ渋谷 11/10(土)~
シネ・リーブル池袋 11/17(土)~30(金)
楽天地シネマズ錦糸町 11/17(土)~
ワーナー・マイカル・シネマズ多摩センター 11/17(土)~30(金)


そして全国的に拡大していることにも気づきました!

平日に出直そうとしていた両親が大喜びしたのは言うまでもありません。それでも

「多摩センターでやるのに府中でやらないのは、どういうことなんだ!」 と、

あくまで TOHOシネマズ 府中 にこだわる父に 、

「大人の事情でしょう… そもそも外国資本のお蔭でようやく完成した映画だからね」 と、

説明しました。 ワーナー・マイカル・シネマズ のような全国展開の大規模な映画館での

上映が決まっただけでも喜ばしいことです。じわじわと人気を呼びロングランするのが

理想的な形なので、もっと拡大して1人でも多くの特に日本人に観てもらいたい作品です。
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