52. この本がフィクションだったなら

4月17日に封切りされた 「クロッシング」 が各方面で大きな反響を呼んでいます。

私は事前に鑑賞し自信を持ってお薦めしたい素晴らしい作品だと思い、このブログでも

たびたび紹介してきましたが、正直言って、これほど話題になりマスコミにも好意的に

取り上げてもらえるとは思っていなかったので嬉しい限りです。

この困難な世の中では 「自分のことで精一杯」「映画は娯楽だから楽しくないと…」と、

考える人がもっと多いかと思っていましたが、世の中まだまだ捨てたものではないですね。


それで私は、脱北者の現実をもっと深く知りたいと思い、今度は本を読み始めました。

脱北、逃避行  野口 孝行 著
  脱北、逃避行  野口 孝行 著


体調が優れない時などは読みたくないような、重苦しく辛い内容を覚悟していたところ

文章の巧みさから来るものなのか、冒頭からぐいっと引き込まれました。

何故か緊迫感がとても心地良く、ノンストップで行けそうな面白さではありませんか!!

表紙画像をご覧になって頂ければ、「面白い」 などとは不謹慎と思われるかもしれませんが

この本が現実に起こったことではなく、フィクションだったとしたら、優れたサスペンス小説

として、もてはやされるかもしれないとさえ思いました。

読者の目線は、著者の野口さんとなり、野口さんの体験を、そのまま自分自身が演じて

いるかのような錯覚に駆られます。時間に余裕があれば一気に読み終わったはずですが

最近とても忙しく、細切れの読書を余儀なくされ、残念ながらまだ途中です。

いずれ落ち着いたら、じっくり感想を書きたいと思いますが、これほど面白い作品は

最近にはなかったので、なんだか先走って失礼しました。


ふと我に返ると、この本は当然ノンフィクションで、本当に起こった出来事であり、

現在進行形で起こっている出来事だという事実が重くのしかかって来たものの、

いずれ迎えなければならない大きな変化を強く望む気持ちが勝って、跳ね除けました。

つづく

55. 「脱北、逃避行 (野口孝行 著)」 を読んで


成功。挫折。 そして投獄。
NGO日本人青年の脱北者支援活動と中国獄中243日
北朝鮮難民支援活動に従事し、現在も北朝鮮から国際手配される
著者が体験した脱北支援活動の緊迫した情勢と、中国当局の
人権軽視の実態を克明に伝えるノンフィクション。
(中経出版 HP より)


「地上の楽園」 は 「とんでもないこの世の地獄」 だった…

読み初めからこの作品に強く引き込まれながらも、忙しくて一気に読む時間が無く、早く先を

進めたいと思うことばかり頭から離れなかった数日間でしたが、ようやく身辺も少し落ち着き、

遂に読み終わりました。読み始めから興奮気味で、ここにも先日その様子を書きました

結局、最後までテンションが落ちることはありませんでした。

この本を手に取ったのは、映画「クロッシング」を観て疑問に思ったことが幾つかあり、

その答えの一部が見つかるような気がしたことと、北朝鮮難民を救援するとは具体的に

どのようなことなのか知りたかったからです。

読み終わった今、期待通り疑問は解決され、期待以上の内容だったと満足しています。

「クロッシング」での疑問とは、脱北ビジネスのブローカーと純然たるボランティアの

区別がつかない場面があったことで、その辺りがよく理解出来ました。

そして救援の具体的方法が作品の全般を通して書かれており、人助けとは言え、これほど

の危険を冒してまで困難なことに立ち向かうのかと驚き、同時に敬意の念を抱きました。

また脱北者も、北朝鮮で生まれ育った人だけに限らず、日本で生まれた元在日韓国・朝鮮人

や元在日韓国・朝鮮人を配偶者に持つ日本人が、1958年から始まった北朝鮮帰国事業で

渡ったケースなども含められていること、著者が救った、あるいは救おうとした脱北者も、

そのように日本に関わりのある人達だとわかりました。

脱北者は圧制の祖国をようやく逃れても、逃れた中国も安全な場所ではなく、その危険地帯

から安全な場所へ逃がす手助けをする 「日本の小さなNGOの大きな使命感」 に、同じ国民

というだけで、誇らしく思えて頭が下がりました。


この本で特に印象深いのは、中国当局の人権軽視の実態を克明に知らされて 「憎き中国」 の

はずですが、著者が関わった中国人は必ずしも悪い人ばかりではなく、むしろ愛すべき大勢

の人々が登場することです。そのことが、結局人間同士のことは時間をかけても人間同士が

解決出来るものだと教えられているかのようで、絶望の中にも希望があり、遥か遠い先には

見え隠れする僅かな光が姿を現わしました。


最後に、私が大号泣した場面を紹介します。

脱北者の淑子さんは、私と同じ東京生まれで年齢もほぼ同じ、17才まで東京で高校生活を

謳歌していたそうです。彼女は無事脱北を成功させた暁の安住先に、生活支援対策などで

好条件が整っている韓国ではなく、条件の悪い日本を強く希望しました。

それは淑子さんにとって故郷は日本であり、望郷の想いは、どんな苦労も厭わないほど強い

ものだったからです。淑子さんが17歳で日本を発ち北朝鮮行きの船に乗った時、大流行

していた太田裕美の「木綿のハンカチーフ」の歌詞が紹介されている場面で、私はおもわず

その歌を口ずさみ、涙でぐちゃぐちゃになりながら最後まで歌い続けました。

17歳の自分がもし、淑子さんだったら…

北朝鮮という、国とも言えないような国に対する憤りは最高潮に達しました。


木綿のハンカチーフ 太田裕美
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木綿のハンカチーフ 太田裕美

つづく

81. 「脱北、逃避行」 が映画化されたらいいな…

今年になって読んだ本の中で群を抜いて面白かった野口孝行さんの 「脱北、逃避行」

シビアな内容に 「面白い」 と言うのは、ちょっと抵抗がありますが、ここでは辞典にある

「興味をそそられて心が引かれるさま」 を指しており 「楽しい、愉快」 ではありません。 

そもそも私は映像より活字の方が感動し易い習性なので、面白い本に出逢うと必ず

いつもの癖である 「妄想」 が始まります。 活字離れが進んでいるので、映像の方が良い

と思う人が多いだろうから映画化されるべきだ… 頭の中で登場人物を演じる役者さんを

決め舞台設定をして物語を勝手に再スタートさせました(笑)



竹之内豊 ソン・ヘギョ 岡江久美子 沢口靖子
竹之内豊 ソン・ヘギョ 岡江久美子 沢口靖子


著者であり主人公の野口さんはイケメンだと評判なので、野口さん役は 竹野 内豊 で即決、

中国朝鮮族のガイド兼通訳の崔(チェ)さんは、韓国の女優さん ソン・ヘギョ がぴったり!

故郷の日本を目指す姉妹の 淑子さんは、岡江 久美子恵美子さん沢口 靖子。 

いろいろなご意見があるかと思いますが、あくまでも私だけの世界ですのであしからず。

滅多にテレビを観ないので、年頃が野口さんに合う日本人のイケメンで思い浮かんだのは、

「ビーチボーイズ」(古くてすみません…) の 竹野 内豊 だけなのでご了承を。

崔(チェ)さんの ソン・ヘギョ は、人気の韓国ドラマ 「フルハウス」の元気なイメージで

お願いしたいです。崔(チェ)さんの魅力ある人間性は作品の中でキラリと光っていたので、

眩しいほどに可愛い人気の ソン・ヘギョで、韓国のファンにも興味を持ってもらえそうです。

そして重要な役どころ 淑子さん は、大好きな作家 森村誠一の牛尾刑事・事件簿シリーズ

「終着駅シリーズ」で、牛尾刑事の奥さんを演じている 岡江 久美子。原作を全て読んでから

テレビドラマを数回観て、これほど原作のイメージにぴったりな配役は他に無いと感動した

記憶があるので印象に残っていました。恵美子さん の 沢口 靖子 は、深い理由はなく

私にとって理想の好きな顔だから… 他の登場人物は長くなるので省略いたします。


私の妄想はさておいて本当に映画化してほしい作品です。


「脱北、逃避行」 は、マスコミでも注目されつつあり、先ず 産経新聞 で紹介され、

先日は、文化放送寺島尚正のラジオパンチ に野口さんが出演され、

月刊誌 文藝春秋 の記事になり、 毎日新聞 にも登場しました。


理想は、本を読んでから映画も観てほしい作品です。映画化も夢ではないかも…


2010.5.25 文化放送 寺島尚正のラジオパンチより
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2010.5.25 文化放送 寺島尚正のラジオパンチより

457. 「脱北、逃避行」 が文庫本に

2011年の大宅壮一ノンフィクション賞 候補作品にも選ばれた 「脱北、逃避行」 野口孝行著 が

今月10日に 文春文庫から発行されました。コンパクトなサイズで求めやすい価格の文庫本として

発売されたことにより新たな読者が増えることを期待しています。東京新聞編集委員 五味洋治氏

の文庫解説 「自由への過酷な旅」の記録 が素晴らしいのでぜひ参考になさってください。

私は当ブログに掲げているように韓国映画 「タイフーン」 に出逢って初めて脱北者に意識を

向けるようになり積極的に関連作品と向き合う中で3年前に読んだ 「脱北、逃避行」 は特に

印象深い作品でした。なんといっても自分と同じ時代に生きる普通の日本人の実体験である点が

強烈なインパクトとして残っており、ドキドキしながら読み進めた記憶が鮮明に蘇ります、

この時は立派な装丁の単行本だったので自宅で読みましたが、本当は外出時にも携帯して

少しの移動時間も無駄にせずに早く読みたいと思ったほどです。

思えば3年前と現在では私自身に大きな変化があり、言い方を変えれば、お金や物よりその経験に

価値があり当事者にとってはかけがえのない財産だと以前にも増して私の中で明確になったので、

危険極まりない無謀な旅だと思わず違う角度から俯瞰して新鮮な気持ちで再読出来ました。

読書の秋たけなわ、通勤途中に、旅の途中に、眠れない夜に、「脱北、逃避行」 はいかがでしょうか?


「脱北、逃避行」 文春文庫 野口孝行著
「脱北、逃避行」 文春文庫 野口孝行著
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